作家、原作者、著者:坂井希久子
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つがい
妻と息子を東京に残し、大阪で単身赴任生活を送る35歳のサラリーマン・柳は、ふと大学生時代を過ごした街を訪れ、かつて住んでいたアパートに足を伸ばした。当時自分が住んでいた部屋の隣には、あの頃と同じく化粧気のない幸薄そうな年… -
リリスの娘
和道は高級ホテルの最上階にあるバーで凜子に声をかけた。40年ぶりの再会。2人は同じ養護施設で育っていた。もう50歳を超しているはずなのに、凜子は30代前半に見えるほど若々しい。深緑のドレス姿で、背中がV字に大きく開いてい… -
泣くに泣けない
新人教育係を務める29歳のヒカルコは、中途採用でシステム本部に入った31歳の光浦に手を焼いていた。女性を相手にするとロクに挨拶すらできず、コミュニケーションが取れないため、苦情が殺到したからだ。呼び出して注意しても、テン… -
縄のきもち
35歳のグラフィックデザイナー・瓜生哲也は、バーで26歳の渡辺倫子と知り合った。突然「私とセックスしてくれませんか」と提案してきた彼女は、清楚な外見にもかかわらず、実は緊縛好きの変態女だった。哲也は何度か倫子と刺激的なセ… -
秘めやかな蜜の味
古い雛人形を見に来ないかと妙齢の女に誘われ――「雛の家」、山菜採りに出かけて遭難したところを山奥に一人で暮らす女に助けられ――「山の女神」、学生の私に梅仕事を教えたのは――「梅供養」、隣家の若奥さんに言い寄られ――「夜叉… -
リリスの娘
この女は麗しき悪魔か、それとも淫らな女神か。流行作家、会社経営者、パティシエ、前途有望な学生……。巧みに心を弄びながら、様々な男たちの人生を幻影のように移ろっていく凜子。欲望と波乱に満ちた流転の果てに、彼女が胸に抱いた誰… -
ハハノカレ
20代後半の美波は、秋に結婚を控えていて、同棲もしている。しかし、マンションで漏水問題が発生し、1週間だけ実家に戻ることになった。しかし、ひとりで美波を育ててくれた母は不在。ファッションジャーナリストをしているが、今はパ… -
にじます
山形県の銀山温泉で、遥香はひとり暇を持て余していた。一緒に来るはずだった夫は突然仕事が入り、連絡が一切来ない。大学生だった10年前、一緒に訪れたこの土地にまた来ようと約束していたのに。結婚して4年経ち、最近はすれ違いが続…